<第236回>  HSBC、2009年ベトナム証券市場の予想

ベトナム株情報から

香港上海銀行(HSBC)は2009年度第1四半期に発表したレポート、ベトナムモニターにおいて、ベトナム証券市場の2008年総括と、2009年度のベトナム市場の魅力を高めるための5条件を指摘した。

 その中でHSBCの専門家は2009年末のVNインデックスは300レベルに留まると予想した。


アジア市場の中では競争力に欠ける

 HSBCはベトナム証券市場が日に日に縮小しつつあることを指摘、海外投資家が以前のように関心を持てる規模ではなくなっているとした。2008年度のVNインデックスは前年比およそ69%下落したが、これはアジアにおける証券市場では最も悪い結果であった。日本を除いたMSCIインデックスの下落率も53%に留まっている。

 2008年11月20日から年末までアジア市場における株価は以前より23%上昇したにも関わらず、2008年末の6週でもベトナム株価は回復することはなかった。その期間にすらベトナム証券市場は3%下落した。

 専門家の指摘によれば、多くの海外機関投資家がベトナム市場に関心を失っていることを指摘している。ベトナム証券市場では時価総額が10億ドル以上ある銘柄が一つもなくなったことで、購入できるものがなくなったという。5つ以上の銘柄の時価総額が5億ドル以上あり、いわゆるルーム(外国人保有枠)もまだ残されている。しかしそうした銘柄も規模の小さな投資ファンド向けであるとしている。

 2008年9月から海外投資家は総額1億2,700万ドルの株式を売り越している。ベトナム証券市場を重要と見なす海外投資ファンドを除くと、海外投資家は保有していた株式を大方売却してしまったため、2008年12月に入って売り越しはようやく鈍化した。

 ベトインバンク(Ngan Hang Cong Thuong Viet Nam-Vietinbank)も2008年12月25日にIPOを実施したが、2008年度で最大のIPOと目されていたこのIPOも、全ての競売株式こそ売却できたが、購入した海外機関投資家は僅か3社にしか過ぎなかった。

 こうした状況を受けてHSBCのアナリストはレポートの中で、ベトナム市場への投資推奨比率を0%に引き下げている。投資家が市場へ戻って来た場合にも、ベトナム市場よりも他のアジア地域に魅力を感じるだろうと予測している。ベトナム企業の業績には透明性には限界があり、2008年度のマクロ政策によって、ベトナム証券市場の長期的な魅力が疑わしいものとなったと述べている。

 一方で、ベトナム経済が外国直接投資(FDI)及び輸出に大きく依存して来たために、2009年度のベトナム経済成長率が大きな制約を受けることも指摘している。ベトナム企業の潜在力や、ベトナムが抱える人口といった魅力は、いつの日にかベトナム証券市場を再び活発にさせるだろうが、あまり近い将来ではない、と見ている。


2009年度にベトナム証券市場の魅力を向上させるために

 HSBCでは同時にリポートの中で、ベトナム市場を魅力的にするために改善するべき5つの指摘も行っている。

1) 株価が現在より割安となる

 HSBC専門家はベトナム証券市場がここ2年間で大幅に下落したにも関わらず、株価は依然割安とは見られていないという認識を示している。2007年度の株価収益率(PER)はおよそ9倍であった。2008年度の1株利益(EPS)が前年比10%下落し、2009年度では0%になると仮定すると、2008年度のPERは10.1倍と予想される。現在のタイのPERは僅か7.2倍に留まっている。

 財務報告の透明性が低い状況では、投資家は市場に参加する前に、株価が更に下落するまで待つべきだとしている。

2) 企業業績を透明化する

 ベトナム証券市場にとって最大の問題は、上場企業の業績報告が透明性を欠いている点だとしている。ベトナムでは全般的な予想をする分析者が少ないことも、そうした問題を蔑ろにしてしまっている。その他、企業業績が毎年1回しか監査されず、評価損等が大きい場合にも、通常年末に計上されるだけ、という状態が、透明性を低下させている。

3) 株式会社化を強化する

 2007年度にベトコムバンク(Ngan hang Thuong mai Co phan Ngoai thuong Vietcombank-VCB)がIPOを実施した後、2008年度はVCBのような大規模なIPOは殆どなかった。HSBCの分析者は、石油関連製品、通信、及び銀行分野で活動している企業を始めとするベトナム大手企業の株式会社化をきちんと準備し、適正な企業査定に基づいてIPOを行った場合、海外投資家の関心を大きく集め、証券市場を活発にさせることができるとの認識は持ち続けている。2009年上半期にモビフォンがIPOを行うことに対する期待感がその表れである。

4) 利下げを継続する

 金利を更に大きく引き下げるべきである。2008年12月に基準金利を2.5%引き下げたが、市場における金利は依然として高いレベルに留まっている。一方ではインフレ上昇は依然として管理当局の懸念材料の一つである。

 銀行間翌日物金利が年利5%、期限10年の短期国債の利息が年利10%となっていることが、国内投資家にとっての現在の証券市場の魅力を減少させている。さらに、2008年度にベトナムドンがドルに対して9%程度切り下げられたこと、ドルの流動性が低く、証券投資による海外投資家の利益を外国へ容易に持ち出せないことも海外投資家を落胆させている。

5) 国内投資家を取り込む

 2009年1月1日以降実施とされた個人投資家に対する証券投資に関する所得税課税が2008年末のベトナム証券市場を下落させた原因の1つと見られている。税徴収する時期が猶予されず、計画通りに施行することが決まったことで、管理当局が市場動向を最優先していないという認識が広がった。


ベトナム株 | 【2009-01-14(Wed) 21:33:24】 | Trackback:(0) | Comments:(0) | [編集]
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